特進科女子と普通科男子
「……そう、ちょう?」
由李から視線を移して、言葉の意味を理解出来ない、という顔をしている相良君を、じぃっと見つめる。
( この人が、由李の好きな人 )
染めてるのか、染めてないのか知らないけれど。
温和そうな雰囲気に良く似合う茶髪。
普通科の制服は、さっきの男達みたいに原型を留めていないわけでもなく、程よく着崩されている。
女の子達が騒ぐのも分かる。確かに、格好いい。
由李を助けたと聞いた時は、「どうせ、由李に近付く為に優しいふりをしているんだろう」と思っていた。
実際会ってみると、彼は見た目通り優しい人なんだと分かった。
何より、由李の事が好きなんだろうって凄く伝わってきた。
由李の男性恐怖症の症状が、唯一出ない男の子。
私は普通科の人達が苦手だ。
とてつもなく嫌いに近い苦手である。
普通科は乱暴だし、馬鹿ばっかりするし。
( ……それに )
私を避けるように、"あいつ"が普通科に入ったから。