特進科女子と普通科男子
少し悲しそうな、少し期待するような君の表情に、胸が高鳴る。
ーーああ、好きだ。
その笑顔も、泣き顔も、声も、仕草も、全部。
だけどそれは、後付けに過ぎなくて。
( ……ただ、好きで仕方ない )
溢れそうな想いを、必死に押しとどめる。
彼女の手を掴みたい。他の誰よりも近くにいたい。
「……誰だと思う?」
「え……?」
まだ。
まだ、耐えて。
「誰だと思う?」
少しずつ、戸惑う彼女へと近付いて。
ゆっくり、ゆっくりと、彼女に手を伸ばす。
ーーあと少しで、届きそうなんだ。
彼女の震える唇に引き寄せられるように、顔を寄せる。
どちらかが動けば、唇が触れる……そんな距離。
彼女の瞳が驚きで揺れたのを見届けて、くすっと笑みが漏れる。
「ぁ……相良くっ、」
ーーあと、1cm。
「ーーはい、ストーップ!!」