特進科女子と普通科男子
シャーペンの走る音。
( ……あ、誰かペン回し失敗した )
カシャ、と小気味よい音は、暫く何度か聞こえている。
「えー……であるからーー」
先生の方に目を向けながら、耳はペンの落ちる音をしっかりと捉えていた。
意味も無く、筆箱から消しゴムを取り出す。
消しゴムのケースを外して、油性マジックの細い方を開けてーー閉めた。
( ……昔、流行ったっけ。誰にも触れられず使い切ったらーー )
教室の時計の針が、8時16分で止まっている。
腕時計は現在9時ぴったり。一限が、始まったばかり。
カチカチとシャーペンの芯を出す。
……今日は、本当に集中出来ないみたい。