完璧なる後転

放課後

自由すぎる自分の部活
美術部をお休みして
ジャージに着替える私。

「邪魔はしないから」

涙目で卓球部の部長である姉に訴え
重たいマットをズルズル引っ張る私。

スヌーピーに出てくる
ライナスのようだ。

「絶対できるから」

「頑張れ千尋!」

クラスの友人である部員達に励まされ
下唇を出して情けない顔をしていると、姉がエラそうに注意して友人達を散らし私を孤独に戻す。

「踏まれても知らないからね」

ショートカットで仁王立ち
腹筋の割れてるお姉様。
どっちかといえばお兄様。

背中を向けた時に変顔で抵抗
しかしながら
今は場所を借りてるので
文句は言えない。

並んでいる卓球台の奥

ひとり
後転の練習。

あぁ
虚しい。寂しい。孤独だ。

誰か誘えばよかった……って、アタシだけなんだよ追試。

なんでみんなデキるんだろう。

不思議。
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