完璧なる後転
「足が折れた」
「ごめんごめん。まさかそんな所に人がいるとは思わなかった」
「折れたから体育の追試もムリ」
「来週、女子が楽しみにしている先輩たちのライブも行けないなぁ」
「それは行く」
目の色変えて起き上がる。
小さなライブハウスを借りた
カッコいい三年生達のライブ。
そのチケットに
どれだけ血と汗と涙とコネを使ったか。
必死な顔がウケたのか
杉田は思いきり笑っていた。
体育会系の笑顔ってまぶしいわ。
「マジで何やってんの?」
杉田のTシャツに描かれてるのは
私の大好きなキース・へリングのイラスト。
ロボットみたいな人影が背中を丸めているイラスト。
練習しろって事でしょうか
キース様。
「自己練習」
またマットの端に座り
身体を丸めて
両手を耳の横にそろえる私。