◆あなたに一粒チョコレート◆
***

三時間後。

『帰った』

……愛想も何もないな。

私は冷や汗の出る思いで瑛太からのラインを見た。

昔はもっと……屈託なくてお喋りだったのに。

「なんか、可愛くなくなったな、瑛太は」

私は口に出してこう言うと、自宅を出て瑛太の家を目指した。

***

「おばさーん、瑛太と買い出し行くんだ。上がっていい?」

私の声に瑛太のママが振り返り、ニッコリと笑った。

瑛太の家の一階は、ご両親が切り盛りしている小料理屋だ。

店はいつも大人気で忙しい。

「あら、春!わざわざ言いに来なくてもいいわよ!瑛太なら部屋にいるから。玄関まわって」

「じゃ、遠慮なくお邪魔します。また手伝いに来るからね」

「まあー、嬉しい事言ってくれるわね!じゃあまたお願いね」

「うん!」

私は店の引き戸を閉めると玄関にまわり、二階の瑛太の部屋へと向かった。
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