◆あなたに一粒チョコレート◆
あまり長く返事を引き伸ばせないし、ひとりじゃないなら……まあいいか……。

「分かった、見に行く」

私がそう返事をすると、鮎川君がホッとしたように笑った。

「やった!」

いつの間にかポケットから出した手で小さくガッツポーズを作る仕草にドキッとする。

そんなに……嬉しいのかなって思って。

白い歯を見せてニッコリ笑った顔が……やっぱり眩しい。

去っていく鮎川君を見送ったあと、菜穂が嘆いた。

「なんで告白、断っちゃうかなあ……」

「だから、言ったでしょ?まるで違う世界に住んでそうだもん。付き合ったら疲れそう。それに爽やかすぎて友達以上は無理」

「ふーん。で、どーして浅田はこっちを睨んでるのかなー??」

へっ?

慌てて瑛太を見ると、唇を引き結んでこっちを見ている瑛太と眼が合う。

瑛太の周りの男子は私を見てニヤニヤと笑った。

「おい、春。鮎川に二度目の告白されたのかよ?!」
< 18 / 87 >

この作品をシェア

pagetop