◆あなたに一粒チョコレート◆
わっ、藤井の奴っ!
「違うわっ!」
バカみたいに囃し立てる男子と、様子をうかがう女子達の眼差し。
冗談じゃない。
「ほーお。なんかおもしろーい」
菜穂までっ!
私が眼を細めて菜穂を睨むと、彼女は学食のトレーを両手で掴んでニヤリと笑った。
「とにかくさ、あんたは浅田に探りを入れな。バニラの匂いの主を突き止めるのよ」
「わ……分かった」
私はしっかりと頷くと、菜穂の後に続くように返却口へと食器を運んだ。
これ以上瑛太を見ないようにしながら。
****
『瑛太。部活終わった後、瑛太が暇なら部屋行っていい?ゲームの続き、やりたい』
嘘だけど。
ゲームは今、行き詰まってて面白くない。
ただ、バニラの香りの主を探りたいだけ。
暫くするとラインの返信がきた。
《いいけど》
『瑛太の部屋で待ってるね』
《オッケイ》
ふっ、アホめ。警戒心の欠片もない奴だ。
「違うわっ!」
バカみたいに囃し立てる男子と、様子をうかがう女子達の眼差し。
冗談じゃない。
「ほーお。なんかおもしろーい」
菜穂までっ!
私が眼を細めて菜穂を睨むと、彼女は学食のトレーを両手で掴んでニヤリと笑った。
「とにかくさ、あんたは浅田に探りを入れな。バニラの匂いの主を突き止めるのよ」
「わ……分かった」
私はしっかりと頷くと、菜穂の後に続くように返却口へと食器を運んだ。
これ以上瑛太を見ないようにしながら。
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『瑛太。部活終わった後、瑛太が暇なら部屋行っていい?ゲームの続き、やりたい』
嘘だけど。
ゲームは今、行き詰まってて面白くない。
ただ、バニラの香りの主を探りたいだけ。
暫くするとラインの返信がきた。
《いいけど》
『瑛太の部屋で待ってるね』
《オッケイ》
ふっ、アホめ。警戒心の欠片もない奴だ。