◆あなたに一粒チョコレート◆
***
「昨日の夜に職場で倒れたのよね。まだ詳しい検査をしなきゃ分かんないんだけど、どうやら過労らしいわ」
「そっかあ……」
「まあ、大したことないと思うけど、パパが学校に連絡したみたい」
「なんか私に出来ることがあったら言ってね」
私がそう言うと、菜穂がニヤリと笑った。
「野球部のマネージャー」
思わずグッとつまる私の顔を菜穂が覗き込んだ。
「浅田、春がマネージャーやること知ってんの?」
「さあ……」
恐る恐る辺りを見回して瑛太の姿を探すと、彼は窓際で男子に囲まれていた。
少しだけ眼にかかる前髪を右手でかきあげながら藤井の耳に唇を寄せ、何か言った後、瑛太は弾けるように笑った。
……なんか……ムカつく。
私がいなくても全然平気そうなあの笑顔。
ちぇっ。エロいクセに。
バニラの香りなんか、似合わないクセに。
「昨日の夜に職場で倒れたのよね。まだ詳しい検査をしなきゃ分かんないんだけど、どうやら過労らしいわ」
「そっかあ……」
「まあ、大したことないと思うけど、パパが学校に連絡したみたい」
「なんか私に出来ることがあったら言ってね」
私がそう言うと、菜穂がニヤリと笑った。
「野球部のマネージャー」
思わずグッとつまる私の顔を菜穂が覗き込んだ。
「浅田、春がマネージャーやること知ってんの?」
「さあ……」
恐る恐る辺りを見回して瑛太の姿を探すと、彼は窓際で男子に囲まれていた。
少しだけ眼にかかる前髪を右手でかきあげながら藤井の耳に唇を寄せ、何か言った後、瑛太は弾けるように笑った。
……なんか……ムカつく。
私がいなくても全然平気そうなあの笑顔。
ちぇっ。エロいクセに。
バニラの香りなんか、似合わないクセに。