◆あなたに一粒チョコレート◆
vol.4

バニラな女の子

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……いまだかつて、こんなに人を無視した事があっただろうか。

クラスのみんなは私と瑛太が幼馴染みなのを知っているから、私の瑛太に対する態度に戸惑いを隠せないらしい。

「ねえ、春。浅田となんかあったの?今までなら凄く自然に仲良しだったのに、全然近寄らないじゃん。家隣同士なんでしょ?もしかして裸を見られたとか?!」

違うわっ。

どちらかと言えば、見たのは私!上半身だけだけど。

「川瀬。瑛太を見るお前の眼が黒魔術師みたいで怖いぞ」

とか、とにかく喧嘩の原因を突き止めたいらしい。

でも、でもね。

あんなこと、みんなに言えないでしょ?!

私が瑛太との経緯を話したのは、菜穂だけだ。

浪川に至ってはやたらと挙動不審だけど、瑛太から何か聞いているのかいないのか、定かではない。

一方瑛太はというと、別段私を避けている感じはなく、話しかけてはこないものの、とりわけて態度に変化はない。

そこがまた、腹が立つのよ!

なんか私ばっかが勝手にプンプンしてるみたいじゃん。

「いやいや、その通りでしょう。春がひとりでキレてるんじゃん」
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