◆あなたに一粒チョコレート◆
二時間目の休み時間に急がないと売り切れてしまうビッグ焼そばパンを辛うじてゲットした菜穂は、ご機嫌のあまり口を滑らせた。
「何ですって?!菜穂は瑛太の味方なの?!」
「いやいや、味方っていうか、気の毒というか」
「大体ね、あんなエロい雑誌を隠し持って夜な夜な見てる挙げ句に、甘ったるい匂いの女にも手を出すような男になっちゃった事実が嘆かわしいのよ、私はっ」
「夜な夜な見てるかどうかは分からないでしょーが。はー。美味い。やっぱビッグ焼そばパンは美味い」
「……とにかく、もう瑛太なんか知らん」
「やっぱ、浅田が気の毒……」
私はツンと横を向いて菜穂から眼をそらした後、焼そばパンにかぶりついた。
***
金曜日の朝。
「川瀬ー、あしたは敬清高校と練習試合だから、今日は練習軽めで一時間で上がるんだ。買い出しのあと、グランド整備頼んでいいかー?」
浪川が、教壇から一番後ろの席に座っていた私を見た。
「オッケー。ねえ、買い出しは誰と行けばいいの?三木さん?」
すると、浪川が不自然に視線をさ迷わせた。
「三木はダメ。一応、トレーニングはするから、もし怪我とかしたら応急処置頼まなきゃならないし。えーと、A組の山内が立候補してるけど、どう?」
「何ですって?!菜穂は瑛太の味方なの?!」
「いやいや、味方っていうか、気の毒というか」
「大体ね、あんなエロい雑誌を隠し持って夜な夜な見てる挙げ句に、甘ったるい匂いの女にも手を出すような男になっちゃった事実が嘆かわしいのよ、私はっ」
「夜な夜な見てるかどうかは分からないでしょーが。はー。美味い。やっぱビッグ焼そばパンは美味い」
「……とにかく、もう瑛太なんか知らん」
「やっぱ、浅田が気の毒……」
私はツンと横を向いて菜穂から眼をそらした後、焼そばパンにかぶりついた。
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金曜日の朝。
「川瀬ー、あしたは敬清高校と練習試合だから、今日は練習軽めで一時間で上がるんだ。買い出しのあと、グランド整備頼んでいいかー?」
浪川が、教壇から一番後ろの席に座っていた私を見た。
「オッケー。ねえ、買い出しは誰と行けばいいの?三木さん?」
すると、浪川が不自然に視線をさ迷わせた。
「三木はダメ。一応、トレーニングはするから、もし怪我とかしたら応急処置頼まなきゃならないし。えーと、A組の山内が立候補してるけど、どう?」