◆あなたに一粒チョコレート◆
たちまち女子達が、一斉に私を振り返る。
近くの石段に腰かけていた二年の女子生徒が少し場所を開けてくれて、私は小さく頭を下げるとそこから降りてコートから走ってきた鮎川君に歩み寄った。
「見に来てくれたんだ!すげー嬉しいけど……野球部は大丈夫?」
「ん、福井先生に許可もらったから、少し見ていられるよ」
「そっか。良かった!」
「鮎川君、凄いんだって?!山内君が自分の事みたいに自慢してたよ」
私がそう言うと、鮎川君は一瞬眼を見開いてから照れたように首を振った。
「今日は……川瀬がじかに見て確認してよ。川瀬に、ちゃんと見てもらいたいんだ、俺がサッカーしてるとこ」
……本当に眩しい、鮎川君は。
キラキラしてるなあ。
その時、間近で急に叫び声が聞こえた。
「おい、危ないぞっ!」
……え?
「きゃっ!」
「うわっ、悪いっ!」
ザザッと砂の音がした時にはもう遅かった。
どうなってこうなったのか、まるで分からない。
でも、気付いたら私は倒れていて、おまけに私に覆い被さるようにサッカー部員が倒れていた。
近くの石段に腰かけていた二年の女子生徒が少し場所を開けてくれて、私は小さく頭を下げるとそこから降りてコートから走ってきた鮎川君に歩み寄った。
「見に来てくれたんだ!すげー嬉しいけど……野球部は大丈夫?」
「ん、福井先生に許可もらったから、少し見ていられるよ」
「そっか。良かった!」
「鮎川君、凄いんだって?!山内君が自分の事みたいに自慢してたよ」
私がそう言うと、鮎川君は一瞬眼を見開いてから照れたように首を振った。
「今日は……川瀬がじかに見て確認してよ。川瀬に、ちゃんと見てもらいたいんだ、俺がサッカーしてるとこ」
……本当に眩しい、鮎川君は。
キラキラしてるなあ。
その時、間近で急に叫び声が聞こえた。
「おい、危ないぞっ!」
……え?
「きゃっ!」
「うわっ、悪いっ!」
ザザッと砂の音がした時にはもう遅かった。
どうなってこうなったのか、まるで分からない。
でも、気付いたら私は倒れていて、おまけに私に覆い被さるようにサッカー部員が倒れていた。