陽だまりの林檎姫
「はい。私の実感するところでは北都さんの口数が増えたことですね。この前なんて私が少し気落ちしていた時期にお会いしたら、どうかしたんですか、なんて聞かれたんですよ?あの北都さんが。どれだけ私がビックリしたか、どれだけ社長と興奮したか!それだけじゃなく物言いが柔らかくなって…。」
思い出すだけで興奮するのか三浦は栢木を置いて暴走気味に語り出した。
身振り手振りも激しくなり陶酔するように天井を仰いではまた向き直して語り始める。
すっかり取り残された栢木は言葉も無く見守るしかない。
親心の様なミーハーな様な。ああ、三浦という人物にはこんな一面もあったのだと栢木は一歩も二歩も引いた場所から心涼しく眺めていた。
「それを聞いた社長のあの嬉しそうな顔といったらもう!」
「十分に理解しましたので今日はもうお暇させていただきますね。」
いつまで経っても終わりそうにない三浦の陶酔劇に切り込みを入れて栢木は机の上に出された薬草箱を手にする。
正直これ以上の興味は無い。
「あ、すみません。封書もいくつか…。」
ようやく我に返った三浦は顔を赤くしながら北都宛の郵便物を机の上に並べた。
今日は本当に荷物が多いようだ。
「そう言えば、今朝の新聞を読んでいたら面白い広告がありまして。北都さんが好きそうな講習会がありましたよ。北都さんは行きましたか?」
「昨日から研究室にこもっていますが…どうでしょうか。」
「もしかしたら屋敷に着くなり追いかけるかもしれませんね。」
「はい。」
今日は一日研究室にいる予定だが確かに三浦の言う通り追いかける可能性も十分にある。
重い荷物をしっかりと抱えて屋敷に戻れば、何事も無かったようにミライが栢木を出迎えてくれた。
「栢木、おかえり。」
「ただいま。」
「凄い荷物ね、手伝おうか?」
「平気。ちょっと行儀が悪くなる位かな。」
思い出すだけで興奮するのか三浦は栢木を置いて暴走気味に語り出した。
身振り手振りも激しくなり陶酔するように天井を仰いではまた向き直して語り始める。
すっかり取り残された栢木は言葉も無く見守るしかない。
親心の様なミーハーな様な。ああ、三浦という人物にはこんな一面もあったのだと栢木は一歩も二歩も引いた場所から心涼しく眺めていた。
「それを聞いた社長のあの嬉しそうな顔といったらもう!」
「十分に理解しましたので今日はもうお暇させていただきますね。」
いつまで経っても終わりそうにない三浦の陶酔劇に切り込みを入れて栢木は机の上に出された薬草箱を手にする。
正直これ以上の興味は無い。
「あ、すみません。封書もいくつか…。」
ようやく我に返った三浦は顔を赤くしながら北都宛の郵便物を机の上に並べた。
今日は本当に荷物が多いようだ。
「そう言えば、今朝の新聞を読んでいたら面白い広告がありまして。北都さんが好きそうな講習会がありましたよ。北都さんは行きましたか?」
「昨日から研究室にこもっていますが…どうでしょうか。」
「もしかしたら屋敷に着くなり追いかけるかもしれませんね。」
「はい。」
今日は一日研究室にいる予定だが確かに三浦の言う通り追いかける可能性も十分にある。
重い荷物をしっかりと抱えて屋敷に戻れば、何事も無かったようにミライが栢木を出迎えてくれた。
「栢木、おかえり。」
「ただいま。」
「凄い荷物ね、手伝おうか?」
「平気。ちょっと行儀が悪くなる位かな。」