陽だまりの林檎姫
「危ないところを助けて頂きありがとうございました。」
本来なら言い尽くせない程の感謝がある筈の相手に何故か威嚇するような目つきで北都は挑んだ。
予想外の眼差しにタクミは目を丸くする。
しかし何かを察知したタクミは目を細めると微かに口角を上げた。
「ほ、北都さん。彼は…。」
「いいえ、それでは。」
取り上げられるように離れた栢木を預け、タクミは立ち上がる。
目も合わせず何の未練もなくそのまま背を向けて去っていった。
しかし北都の視線は威力を衰えさせることなくタクミの背中に注がれている。
「北都さん…彼がこの前お話ししたタクミです。」
「…あの人が?」
腕の中で遠慮がちに話す栢木にようやくその敵意むき出しの視線は解放された。
考え込むように目を伏せると北都の表情は厳しいものになっていく。
「あの、北都さん。…痛いです。」
「えっ?」
指摘されて気付けば栢木の肩を抱く力が強く入っていたようだ。
「悪い。」
「…いいえ。」
申し訳なさそうにするのは何故か栢木の方だったが、ただ瞬きを重ねるだけでその先をどうしていいのか分からないらしい。
とりあえず北都は栢木の全身を眺めると怪我の様子が無いことを確かめた。
「どこか痛むところはあるか?」
「いいえ、ありません。」
「そうか。」
本来なら言い尽くせない程の感謝がある筈の相手に何故か威嚇するような目つきで北都は挑んだ。
予想外の眼差しにタクミは目を丸くする。
しかし何かを察知したタクミは目を細めると微かに口角を上げた。
「ほ、北都さん。彼は…。」
「いいえ、それでは。」
取り上げられるように離れた栢木を預け、タクミは立ち上がる。
目も合わせず何の未練もなくそのまま背を向けて去っていった。
しかし北都の視線は威力を衰えさせることなくタクミの背中に注がれている。
「北都さん…彼がこの前お話ししたタクミです。」
「…あの人が?」
腕の中で遠慮がちに話す栢木にようやくその敵意むき出しの視線は解放された。
考え込むように目を伏せると北都の表情は厳しいものになっていく。
「あの、北都さん。…痛いです。」
「えっ?」
指摘されて気付けば栢木の肩を抱く力が強く入っていたようだ。
「悪い。」
「…いいえ。」
申し訳なさそうにするのは何故か栢木の方だったが、ただ瞬きを重ねるだけでその先をどうしていいのか分からないらしい。
とりあえず北都は栢木の全身を眺めると怪我の様子が無いことを確かめた。
「どこか痛むところはあるか?」
「いいえ、ありません。」
「そうか。」