陽だまりの林檎姫
挑発ともとれる台詞と声色に栢木も瞬きを重ねて北都を窺う。
それはキリュウも同じで、まさに栢木が出したい言葉と同じものを呟いた。
「どういう意味だ…?」
「男として彼女を渡す訳にはいかない。そういう意味です。」
強い意志を感じられる声に栢木の目が大きく開く。
「正気か?伯爵家の令嬢とただの開発者が釣り合うとでも思っているのか。」
「選ぶのは彼女です。そして今、彼女は貴方を選ぼうとはしていない。だから彼女を渡す訳にはいかないんです。」
「選ぶなど…。」
「自分の意思で動かない人間など意味がない。お引き取りを。」
低く響く声に圧されたのは栢木だけではない筈だ。
暗闇に支配されていた世界に光が差し込む、そんな希望が見えて栢木は泣きそうになった。
北都の袖をつかむ手に力が入る。
「規律に縛られてばかりの貴族に選ぶ自由なんかない!アンナも同じな筈だ!」
「違う。彼女は自ら選んでここに来た。その自由は誰にも奪えない!」
「力は全てを奪う!僕も…っ」
「私は選びます!」
力を持った声を張り上げて栢木は北都の背中から一歩二歩と踏み出しキリュウと向き合った。
「私は…ここに残ることを選びます。」
顔を上げて言葉を放てば風が2人の傍を走って行く。
「悲劇は起きないことを願いますが…もし北都さんに起きてしまえば私はこの両腕を差し上げます。」
落ち着きを取り戻し栢木は再び力のある声でキリュウに挑んだ。
思いもよらない反応だったのかキリュウも驚いたように目を大きくすると、次第に興味深く笑みを浮かべる。
「…へえ。そんな事出来る?」
「この両腕を北都さんに移植していただける医師、その方を探し出してみせます。」
それはキリュウも同じで、まさに栢木が出したい言葉と同じものを呟いた。
「どういう意味だ…?」
「男として彼女を渡す訳にはいかない。そういう意味です。」
強い意志を感じられる声に栢木の目が大きく開く。
「正気か?伯爵家の令嬢とただの開発者が釣り合うとでも思っているのか。」
「選ぶのは彼女です。そして今、彼女は貴方を選ぼうとはしていない。だから彼女を渡す訳にはいかないんです。」
「選ぶなど…。」
「自分の意思で動かない人間など意味がない。お引き取りを。」
低く響く声に圧されたのは栢木だけではない筈だ。
暗闇に支配されていた世界に光が差し込む、そんな希望が見えて栢木は泣きそうになった。
北都の袖をつかむ手に力が入る。
「規律に縛られてばかりの貴族に選ぶ自由なんかない!アンナも同じな筈だ!」
「違う。彼女は自ら選んでここに来た。その自由は誰にも奪えない!」
「力は全てを奪う!僕も…っ」
「私は選びます!」
力を持った声を張り上げて栢木は北都の背中から一歩二歩と踏み出しキリュウと向き合った。
「私は…ここに残ることを選びます。」
顔を上げて言葉を放てば風が2人の傍を走って行く。
「悲劇は起きないことを願いますが…もし北都さんに起きてしまえば私はこの両腕を差し上げます。」
落ち着きを取り戻し栢木は再び力のある声でキリュウに挑んだ。
思いもよらない反応だったのかキリュウも驚いたように目を大きくすると、次第に興味深く笑みを浮かべる。
「…へえ。そんな事出来る?」
「この両腕を北都さんに移植していただける医師、その方を探し出してみせます。」