陽だまりの林檎姫
相変わらずの態度に珍しく文句が付いてきたが、それさえも気にならないくらい今の栢木は機嫌がいい。
「楽しそうだな。」
思った事をそのまま口にした北都に栢木は満面の笑みで素直に答える。
「はい!凄く。」
思った以上の反応だったのか北都は目を丸くした。
「北都さんとこうしているなんて、まるで夢の様な時間ですよ。」
嬉々として話す栢木に北都は読み取れない表情のまま何の反応も見せなかった。
それでも栢木は満たされていた。
空から降り注ぐ三日月の光と室内から漏れる明かりが北都を包む。いつもと違う格好もあって、その姿は幻想的で魅了されそうだ。
いや、既に魅了されていた。
それは北都から見た栢木も同じだった。
淡い光に照らされた栢木の笑顔はいつもより妖しくて引き込まれそうになる。
己の欲に従えばいいと誰かが囁いたのは気のせいだろうか。
北都が足を踏み出して栢木との距離を縮める。見つめあう二人の視線、栢木は北都から目が離せなかった。
「北都さん?」
いつもと違う雰囲気に栢木の心臓は強く反応する。
やがて北都の左手が栢木の顔辺りに伸びてきて彼女のに触れた。
夜風が冷たいから余計に伝わる北都の手のぬくもりに、全身が反応を示して赤くなっていく。
「やっぱり栢木は…この髪の方が似合うな。」
そう言って親指で優しく頬を撫でた。
まるで別人のような振る舞いに栢木の鼓動は速くなっていく。
逸らしたいのに逸らせない、危うい色を含んだ眼差しは感覚を麻痺させて勘違いしそうになる。
栢木は完全に北都に捕らわれていた。
「楽しそうだな。」
思った事をそのまま口にした北都に栢木は満面の笑みで素直に答える。
「はい!凄く。」
思った以上の反応だったのか北都は目を丸くした。
「北都さんとこうしているなんて、まるで夢の様な時間ですよ。」
嬉々として話す栢木に北都は読み取れない表情のまま何の反応も見せなかった。
それでも栢木は満たされていた。
空から降り注ぐ三日月の光と室内から漏れる明かりが北都を包む。いつもと違う格好もあって、その姿は幻想的で魅了されそうだ。
いや、既に魅了されていた。
それは北都から見た栢木も同じだった。
淡い光に照らされた栢木の笑顔はいつもより妖しくて引き込まれそうになる。
己の欲に従えばいいと誰かが囁いたのは気のせいだろうか。
北都が足を踏み出して栢木との距離を縮める。見つめあう二人の視線、栢木は北都から目が離せなかった。
「北都さん?」
いつもと違う雰囲気に栢木の心臓は強く反応する。
やがて北都の左手が栢木の顔辺りに伸びてきて彼女のに触れた。
夜風が冷たいから余計に伝わる北都の手のぬくもりに、全身が反応を示して赤くなっていく。
「やっぱり栢木は…この髪の方が似合うな。」
そう言って親指で優しく頬を撫でた。
まるで別人のような振る舞いに栢木の鼓動は速くなっていく。
逸らしたいのに逸らせない、危うい色を含んだ眼差しは感覚を麻痺させて勘違いしそうになる。
栢木は完全に北都に捕らわれていた。