陽だまりの林檎姫
「…よく寝たのか?」
お腹に頭突きされそうで、少し後ろに下がりながら北都は尋ねる。
「はい。」
尋ねられたことには答えるが、それでも頭を上げない栢木に北都からため息がもれた。
「それは何よりだ。三浦さんをお送りしてくれ。」
「…え?」
その声に栢木は頭を上げる。
「こんにちは、栢木さん。」
夢中で気付かなかったが確かに北都の横には三浦が立っていた。
全く気付かなかった事と、自分の失態を曝け出してしまった事が恥ずかしくてさらに顔を赤く染めたが気持ちの切替を素早く行い栢木は通常の自分に戻す。
「失礼しました。」
体を起こして乱れがちな髪に手櫛を入れ、さりげなく服装も整える。
素早く余所行き用の作った栢木に北都はまたため息をついた。
「お休みになっていると聞いていましたが、お元気そうで何よりです。」
「お恥ずかしい限りです。」
微笑む三浦に軽く頭を下げたことで栢木の髪が一束浮いたようだ。
本人には気付かない場所だったが、正面から栢木を見ている北都や三浦には分かりやすい場所だった。
「ああ、栢木さん。」
何気なしに直してあげようと三浦が空いていた右手を伸ばして栢木の髪に触れようとする。
しかし栢木は瞬時に何かを感じ取り自然に三浦との距離をとって逃れた。
「こほっ。」
手を口元に添えて咳払いをする、なんてことない仕草だったがそれが拒絶を表しているものだと三浦も北都も気付いてしまった。
お腹に頭突きされそうで、少し後ろに下がりながら北都は尋ねる。
「はい。」
尋ねられたことには答えるが、それでも頭を上げない栢木に北都からため息がもれた。
「それは何よりだ。三浦さんをお送りしてくれ。」
「…え?」
その声に栢木は頭を上げる。
「こんにちは、栢木さん。」
夢中で気付かなかったが確かに北都の横には三浦が立っていた。
全く気付かなかった事と、自分の失態を曝け出してしまった事が恥ずかしくてさらに顔を赤く染めたが気持ちの切替を素早く行い栢木は通常の自分に戻す。
「失礼しました。」
体を起こして乱れがちな髪に手櫛を入れ、さりげなく服装も整える。
素早く余所行き用の作った栢木に北都はまたため息をついた。
「お休みになっていると聞いていましたが、お元気そうで何よりです。」
「お恥ずかしい限りです。」
微笑む三浦に軽く頭を下げたことで栢木の髪が一束浮いたようだ。
本人には気付かない場所だったが、正面から栢木を見ている北都や三浦には分かりやすい場所だった。
「ああ、栢木さん。」
何気なしに直してあげようと三浦が空いていた右手を伸ばして栢木の髪に触れようとする。
しかし栢木は瞬時に何かを感じ取り自然に三浦との距離をとって逃れた。
「こほっ。」
手を口元に添えて咳払いをする、なんてことない仕草だったがそれが拒絶を表しているものだと三浦も北都も気付いてしまった。