陽だまりの林檎姫
しかし実にいい香りだ。
感じたことが同じなのか栢木から感嘆のため息が聞こえてきた。
「うーん、いい匂い。」
「香の違い、分かる?」
「…こっちのがちょっと甘い気がする。」
コーヒーカップをいくつか並べ、食い入るように見つめている。
受け皿にはそれぞれ種類の違うお菓子が置かれ、珈琲を飲んでお菓子を食べて、栢木はカップの分だけ何回も同じ事を繰り返した。
その度にうなり声が聞こえてくる。
入り口側に背を向けた形になっていた事と、二人ともが集中していた為に北都が部屋の中に入っても全く気付かれなかった。
それならばと北都は入口近くの壁にもたれ、腕を組みながら暫く2人の様子を眺めることにする。
「これが研究の後に出す珈琲ね。」
「うーん、こんなに種類があるのか。ミライって凄いわ。」
「何年仕えていると思ってるのよ。ちなみに豆のブレンドの仕方は好みの割合があってね。」
「どれどれ?」
籠の中から豆の入った袋を取り出して栢木の前に並べていく、その中の一つを手にして香りを嗅いでみた。
鼻にツンとくる香りだったのか栢木の頭が衝撃を受けたように後ろに振られてミライが笑う。
「あはは。何やってんの。」
「ちょっと一気に行き過ぎた…。」
「鼻が利かなくなるから気を付けて?」
適度な距離を保って改めて手にしていた袋を見つめて栢木は小さなうなり声をあげた。
やはりなんとなく感じていたことが正解だったような気がして感心する。
感じたことが同じなのか栢木から感嘆のため息が聞こえてきた。
「うーん、いい匂い。」
「香の違い、分かる?」
「…こっちのがちょっと甘い気がする。」
コーヒーカップをいくつか並べ、食い入るように見つめている。
受け皿にはそれぞれ種類の違うお菓子が置かれ、珈琲を飲んでお菓子を食べて、栢木はカップの分だけ何回も同じ事を繰り返した。
その度にうなり声が聞こえてくる。
入り口側に背を向けた形になっていた事と、二人ともが集中していた為に北都が部屋の中に入っても全く気付かれなかった。
それならばと北都は入口近くの壁にもたれ、腕を組みながら暫く2人の様子を眺めることにする。
「これが研究の後に出す珈琲ね。」
「うーん、こんなに種類があるのか。ミライって凄いわ。」
「何年仕えていると思ってるのよ。ちなみに豆のブレンドの仕方は好みの割合があってね。」
「どれどれ?」
籠の中から豆の入った袋を取り出して栢木の前に並べていく、その中の一つを手にして香りを嗅いでみた。
鼻にツンとくる香りだったのか栢木の頭が衝撃を受けたように後ろに振られてミライが笑う。
「あはは。何やってんの。」
「ちょっと一気に行き過ぎた…。」
「鼻が利かなくなるから気を付けて?」
適度な距離を保って改めて手にしていた袋を見つめて栢木は小さなうなり声をあげた。
やはりなんとなく感じていたことが正解だったような気がして感心する。