[完]愛を君と
「ねぇ、美愛……」
あまりに悲しそうに私を呼ぶから、私も蒼生の顔を見ていられなくて、俯いた。
「……」
「美愛…話そう?」
「ん、」
そして、取り敢えずタクシーを返して病院の裏庭に行くことにした。
「……蒼生?」
「ん?」
「蒼生はさ、大切なもの……失ったこと、ある?」
私の突然の質問にすごく驚いているようだった
「……」
静かに首を横に振る
「そっか……私はあるよ」
「私があんな大きい家に一人暮らしなんて、おかしいと思わなかった?」