イジワル上司に甘く捕獲されました
叔母さんは母よりひとまわり年下でまだまだ結婚は考えていないらしく。

真央以上に札幌が大好きな叔母さんは札幌で気に入る物件に出会って購入したのだ。

ただ、購入してすぐ手放すのは勿体無い。

かといって全く知らない人に貸すことも気が進まない。

というわけで真央に白羽の矢が立って、真央は喜びいさんで引っ越してきたのだ。

真央の勤務地は札幌駅前の百貨店なので、叔母さんのマンションからは地下鉄で三十分もかからない。

叔母さんは断ったらしいが格安の家賃支払いと諸々の条件を決めて住んでいるらしい。

ちなみに真央の彼氏の翔くんの自宅にも近いそうだ。

「ね、一緒に暮らそうよ!
衝撃的な報告だわぁ、美羽ちゃんがこっちに来るなんて!
拓斗くんのことはどうでもいいし、全然衝撃的じゃないけれど」

若干失礼な言葉を吐きながらうかれる真央に、私は話を続ける。

「……でも迷ってるし……。
っていうか、拓斗のこと、どうでもいいって……真央」

「ンー?
だって拓斗くんと美羽ちゃん、何か合わないなあって思ってたからやっぱりね、って感じなんだもん」

拓斗と私は友達期間も含め、付き合いが長いので真央に紹介したことがある。

「美羽ちゃんは何だか拓斗くんを本当に好きなのかなあって思うこといっぱいあったし。
拓斗くんは何かいつも自分の予定最優先、みたいに見えたし。
今だから言うけれど。
美羽ちゃん、今はショックかもしれないけど……。
そのわりに冷静じゃない?」

真央に指摘されてハッとした。
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