イジワル上司に甘く捕獲されました
ただ頷くしかできない私を甘やかすように、潤さんはキスをする。

触れるだけの優しいキスを何度も私の唇に降らせて。

私をゆっくり落ち着かせる。

「……どうして潤さんはそんなに私を好きでいてくれるの?」

唇が離れた時に尋ねる。

それは以前から聞きたかったこと。

どうして潤さんが私を好きになってくれたのか。

「……どうしてかな……でも理屈じゃないんだ。
美羽の全部が愛しくてたまらないんだ。
出会った時から美羽のことは、どこかでいつも気になっていたんだ。
今は……離れていたら心配になるし。
傍にいたら目が離せなくて触れていたくて。
……美羽といたら、すごく温かい気持ちになる。
……そんな風に誰かを思ったことがないんだ……美羽は俺にたくさんの初めてをくれてる」

私の頬をそっと指先で撫でて、とても優しい瞳で言ってくれた。

私はもうそれだけで。

その言葉だけで。

……頑張れる。

「……ありがとう、潤さん。
私も、私も大好きなの。
ずっとずっと一緒にいたい、離れたくない。
何があっても……潤さんを信じるよ」

伝えたい気持ちはたくさんあって。

だけど最適な言葉がうまく浮かばなくて。

もどかしいけれど、伝えなきゃいけないことだけを一生懸命話す。

そんな私に潤さんは少しホッとした顔をして。

「まずは、クリスマスの予定でもたてようか?」

とイタズラッぽく笑った。
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