イジワル上司に甘く捕獲されました
「……美羽、俺全然余裕じゃないよ?
美羽より年上だし、隠すのが上手なだけ。
……カッコ悪いから隠したいと思ってるし」

えっ、と思って横目で潤さんの顔を見上げると、私から目を逸らして、空いている方の手で髪をグシャっとする潤さん。

「……本当、カッコ悪いくらい美羽のことが気になって。
一挙一動に振り回されてるのは俺だよ。
前に言ったよな。
一緒にいると触れたくて仕方ないって。
……そんな風に今まで思ったことなかったよ。
こんなに大切で……愛しいと思う人に初めて出会って……俺自身が一番戸惑ってる」

話しにくそうにポツリポツリ話す潤さんを見上げて。

「美羽が会社で他の男と楽しそうに話してるの見ると、イライラするし。
何を話してるのか気になるし。
俺、こんなに器の小さいヤツだったかなって落ち込むよ」

……一緒?

「私と……一緒?」

そっと潤さんの顔を覗きこむと。

私の頬をそっと潤さんが撫でて。

「過去に付き合ってきた人達がいるのは確か。
だけど、皆、きちんと別れてきたし、今は連絡もとっていない。
連絡先も知らないよ。
……美羽がいたら俺、この先他に女はいらないから」

「潤さん……」

潤さんの言葉が寒い時に飲む温かい飲み物のように身体中に染みわたっていく。

ジワジワと、私の不安が溶けていく。

「……だから、尚樹だったら、とか考えないで。
ちゃんと何でも話して」

私の頬に手を添えたまま、潤さんが私の唇を奪う。

「美羽、返事は?」

唇をほんの少しだけ離して私に尋ねる潤さん。

「ハイ……」

「良くできました」

至近距離でニコッと色気漂う笑みを見せて。

再び潤さんが私に唇を重ねる。





< 134 / 213 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop