イジワル上司に甘く捕獲されました
キスの合間に。

「……ちなみに美羽の元カレの話はもう知ってるから」

と、普通に言われて。

私は閉じかけていた瞼を見開く。

「……!!」

何で、と反論しようとした言葉は唇ごと呑み込まれて。

「真央ちゃんが以前にコッソリ教えてくれたよ。
……何か怒りながら」

真央っ!と心の中で叫んで。

絶対、帰ったら問い質すから、と心に決めた。

「後、尚樹には好きな人がいるから、多分」

多分?

多分って何?

好奇心丸出しで聞こうとしたのに。

「……美羽はコッチに集中して」

再びキスを繰り返す潤さんに唇を塞がれて。

聞こうとして開いた唇の隙間から入り込んだ潤さんの舌に私の口腔は翻弄されて。

「……んっ……」

逃げようとする私の舌を執拗に追いかけて捕まえる。

意地悪なようで甘いキスに。

私の意識は完全に潤さん一色に染まる。

ドキン、と私の鼓動ははねあがる。

甘いものをねだるみたいに優しく私の唇を噛む潤さんのキスは私を蕩けさせる。

チュッと唇の端にキスをして。

名残惜しそうに私から離れていく潤さんの唇はとても色気があって。

真っ直ぐ私を見据える彼の目は妖しい光をずっとたたえていて。

私は直視できない。










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