イジワル上司に甘く捕獲されました
私よりも少し小柄な妹は。

その体型に似合わずパワフルで。

いつも全力投球で物事に取り組んでいて。

私の自慢の妹で。

私を本当に大事に思ってくれるかけがえのない存在だ。

「……本当にありがとね、真央。
翔くんと仲良くね。
……大好きだよ」

泣かないと決めた筈なのに、言っている傍から雫が零れ落ちる。

目頭が熱い。

グスッと鼻をすすりながら、真央は私をぎゅうっと抱き返して。

「私の方こそありがと……お姉ちゃん。
大好きだよ。
また一緒に暮らそうね」

私たちは顔を見合わせて笑って。

お世話になったマンションのエントランスに私は一礼をして。

空港バスの乗り場まで送ると言ってくれた真央と並んで歩く。

札幌の空気を惜しむようにたくさん吸い込んで。

手を振ってくれる真央に手を振り返して。

昨年と同じように荷物を抱えて、空港バスに乗り込んだ。
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