イジワル上司に甘く捕獲されました
再会した人
何とか日々の生活を送れるくらいに荷物を片付けて。

探検ついでに近所を散策して買い出しをして。

埃っぽくなってしまった部屋を掃除していたらあっという間に時間は過ぎていき。

あれよあれよという間に、札幌支店初出勤の朝を迎えていた。

遅刻しないようにセットしてあった目覚まし時計よりも緊張のせいか、早起きをしてしまって。

窓を開けて、実家にいた頃よりも涼しい夏の風を吸い込む。

気温は実家にいた時とあまり変わらないのだけれど、ベタつくようなウンザリするような暑さではなく。

むしろ心地よい暑さだなとこの数日で感じていた。

ただ、冬の寒さは未知で恐怖だけれど……。

折角の早起きが無駄にならないように、手早く身支度を整えて、朝食もしっかり摂る。

忘れ物、戸締りを再確認して、誰もいない部屋に向かって行ってきます、を呟いて。

私は家を出た。

マンションの外に出ると雲ひとつない青空が広がっていた。

太陽が辺りを明るく照らしている。

幸先の良いスタートがきれた気がして少し嬉しくなる。

あれから、七階の彼には会うこともなく。

もしかしたら、そうそう偶然には会わないのかもしれない、と思い始めていた。

地下鉄に乗り込んで、支店の最寄り駅に降り立って。

少しの緊張感を抱えて道を急ぐ。

まだ充分、指定されていた時間に余裕はあったけれど自然と早足になってしまう。

事前にいただいていた地図が分かりやすかったお陰で迷うことなく、支店に到着した。
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