イジワル上司に甘く捕獲されました
瀬尾さん？

瀬尾さんって私の上司になる瀬尾さんのことなのかな？

城田さんが言っていたようにすごく人気がある女性なんだな……。

女性達の噂話を聞いて、改めて城田さんに言われたことを思い出しながら。

私はトレーを片付けて食堂をあとにした。

店内に戻ると。

スレ違いに藤井さんがお昼休憩をとっているとパートタイマーで働いている金子さんに言われた。

金子さんは高校生の息子さんが二人いらっしゃるママさんで。

気さくな雰囲気の女性で、自己紹介をした時すぐに、美羽ちゃんって呼ぶわねっと笑ってくれた。

「あ、そうそう。
瀬尾さんが外出先から戻ってきたって皆川さんが話してたわ。
仕事の説明をするから、第二応接室に来てくださいって」

「あ、はい。
やっぱり戻られてたんですね……ありがとうございます」

私が言うと金子さんは怪訝な顔をした。

「あら？
美羽ちゃん、瀬尾さんに会ったの？」

「あ、いえ。
さっき食堂で、多分このビル内のテナントさんで働いてる女性だと思うんですけど……瀬尾さんの話をされていたので……」

「ああ、そういうことね。
そうなのよ、本当に有名人よね。
まあ、あの外見だからねえ、わかる気もするわぁ」

納得したように頷く金子さん。

「そんなに綺麗な人なんですか？」

「綺麗よ、綺麗すぎるくらい！
まあ、楽しみに行ってきて！」

そう言って金子さんは笑顔で私を送り出してくれた。




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