イジワル上司に甘く捕獲されました
「まあ、とりあえず今日からよろしく。
って言うかこの間からかな?
一応俺がアンタの直属の上司になるから。
今回のプロジェクトで何かわからないことがあったら聞いて。
俺は店にいないことが多いから藤井に聞いてくれてもいいし。
しばらくは店の雰囲気に慣れることとプロジェクトの詳しい内容を理解することに努めて。
先方に帯同してもらうこともあるだろうけど、その時は事前に伝えるから」

私はこの偶然に驚きすぎていて、頭がまだついていっていないけれど。

瀬尾さんは動揺することもなく、淡々と私に業務内容を説明してくれる。

「……はい……」

ポカンと話を聞いている私に、瀬尾さんはいきなり長い腕を伸ばす。

私の視界に瀬尾さんの指が入ってきて。

ムニュっと鼻を掴まれる。

「……っ!」

「ちゃんと聞いてる?」

「き、聞いてますっ!」

思わず涙目になって鼻を押さえると。

「なら、いいけど。
まあ、大まかな説明はこんな感じかな。
どうせ朝から藤井に話を聞いたんだろ?」

「き、聞きました」

「じゃあ、何か質問ある?」

ソファの前に置かれているローテーブルに頬杖をついてジッと私を見つめる瀬尾さん。

その仕草が妙に色っぽくて、仕事中だというのにドクンと胸が高鳴る。



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