イジワル上司に甘く捕獲されました
「あのっ、もしかしてっ。
わ、私が同じ店の社員だって初めから知っていたのですか?」

「あ、そっちの質問?」

ニヤッと口角をあげる瀬尾さん。

「勿論。
人事資料貰ってたし。
ただ、写真のイメージや評価と違いすぎてて最初は半信半疑だったけど」

ペラペラとテーブルにある書類を長い指で捲って。

「ホラ、しっかりもので……とか評価に書いてあるんだけどさ。
そのわりにバスは寝過ごすし、段ボールは片付けられないし……」

面白そうな光を瞳にたたえながら私を見る。

「ほ、放っておいてくださいっ」

……きっと今私、真っ赤な顔をしている。

頬が火照る。

「し、知ってたなら最初から教えてくださいよっ。
私、瀬尾さんって女性だとばっかり……」

「女?
何で?」

怪訝な顔をする瀬尾さんに。

「城田さんが瀬尾さんは美人だからっておっしゃってて……」

とモゴモゴしながら話す。

本当に綺麗な男性に美人、と言うのは何か気恥ずかしくなる。

「あー……そういうこと……。
アイツ、絶対わざとだな。
今度文句言ってやる」

腕を組んで溜め息を吐く、瀬尾さん。

私は何だかいたたまれなくなって下を向く。




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