イジワル上司に甘く捕獲されました
「……他には?」
低く心地よい声に先を促されて、私は頭を無理矢理回転させる。
「……今は特にないです……」
「あっそ。
じゃ、これで面談終了。
席に戻っていいよ」
ぞんざいな感じ半分に、アッサリ言われたけれど。
私はこれ以上ボロが出る前に立ち去ろうと、急いで立ち上がる。
瀬尾さんに背を向けて、応接室のドアの取っ手に手をかけた時。
「あ、ちょっと待って」
意外に愛想よく声をかけられて。
振り返ろうとした瞬間。
背後でふわっと香水が薫る。
トン、と扉に置かれた大きな手。
扉に置いた片手に、体重を預けるかのように立つ瀬尾さん。
視界に入る瀬尾さんの薄いグレーのジャケットと喉仏。
それを目にしただけで、また私の心臓が忙しく走り出す。
「……同じマンションに住んでいることは絶対誰にも言うなよ。
もし言ったら……」
一層低い声を耳の傍で響かせる。
ビクン、と私の肩が上がる。
「……襲うぞ?」
色気を込めた低い声で囁く。
「い、言いませんっ!」
バクバクする心臓を抱えて私はガチャンとドアを開けてバタバタと退室する。
ドアが閉まりきる寸前に見えた面白がっている顔と聞こえたクスクス笑い。
ああ、もうっ。
絶対に私をからかっている。
低く心地よい声に先を促されて、私は頭を無理矢理回転させる。
「……今は特にないです……」
「あっそ。
じゃ、これで面談終了。
席に戻っていいよ」
ぞんざいな感じ半分に、アッサリ言われたけれど。
私はこれ以上ボロが出る前に立ち去ろうと、急いで立ち上がる。
瀬尾さんに背を向けて、応接室のドアの取っ手に手をかけた時。
「あ、ちょっと待って」
意外に愛想よく声をかけられて。
振り返ろうとした瞬間。
背後でふわっと香水が薫る。
トン、と扉に置かれた大きな手。
扉に置いた片手に、体重を預けるかのように立つ瀬尾さん。
視界に入る瀬尾さんの薄いグレーのジャケットと喉仏。
それを目にしただけで、また私の心臓が忙しく走り出す。
「……同じマンションに住んでいることは絶対誰にも言うなよ。
もし言ったら……」
一層低い声を耳の傍で響かせる。
ビクン、と私の肩が上がる。
「……襲うぞ?」
色気を込めた低い声で囁く。
「い、言いませんっ!」
バクバクする心臓を抱えて私はガチャンとドアを開けてバタバタと退室する。
ドアが閉まりきる寸前に見えた面白がっている顔と聞こえたクスクス笑い。
ああ、もうっ。
絶対に私をからかっている。