イジワル上司に甘く捕獲されました
「まあね、桔梗さんも普通にしていたら美形なんだけど。
あの軽さがねぇ……仕事もできるし、楽しい人なんだけど。
来るもの拒まず、去るもの追わず、だからね。
私の関東にいる同期も桔梗さんに憧れている子、多いの。
橘さんが、もし本気で桔梗さんを好きなんだったら苦労するよ……」

少し心配そうな表情を浮かべる藤井さん。

「いえ、本当に違います!」

「……それならいいんだけれど。
困ったことがあったらいつでも言ってね?」

ニッコリ笑ってくれた藤井さんに私も笑みを返して。

パソコン画面を見ると、社内メールが二通、届いていた。

差出人は城田さん。

『美人だったでしょ?
瀬尾くん。
目の保養にはバッチリだから頑張ってね!』

何だかよくわからない激励メール。

私はマウスを手にしたまま項垂れる。

もう、今日こんなことばっかり……私、きちんと札幌支店でやっていけるのかな……。

もう一通は、私の歓迎会のお知らせだった。

今夜、近くの飲食店で支店の皆さんが開催してくださるそうで。

パッと顔を上げると、向かい側に座る藤井さんと目が合った。

「都合、大丈夫?
今日いきなりは辛いかなって皆で相談はしてたんだけど、明日は祝日でお休みだから今日のほうがいいかなと思ったのよ。
私達がよく利用するお店なの。
お魚がすごく美味しいの~」

「藤井さんがお店、選んで下さったんですか?」

「半分正解。
金子さんと私で選んだのよ」

楽しそうに笑ってくれる藤井さんに、さっきまでの自信の無さも忘れて私は歓迎会が待ち遠しくなった。



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