ニセモノ*短編
ぱたん。と無情に響く扉の音。
泣くな、泣くな私。
本気になるまえで良かった。
これは本気なんかじゃないから。
泣かない。
と思っていたのに
いつの間にか頬は濡れていた。
人の物に手を出したから
拓を利用したから
こんな女に幸せになる権利なんて無いんだろうな。
俯いて泣きながら歩いていると
あのときのように声がした。
「あれ…吉野?」
純粋に恋愛をしていたのはいつの話?
汚い恋に堕ちた私は
もう二度と帰れない。
泣くな、泣くな私。
本気になるまえで良かった。
これは本気なんかじゃないから。
泣かない。
と思っていたのに
いつの間にか頬は濡れていた。
人の物に手を出したから
拓を利用したから
こんな女に幸せになる権利なんて無いんだろうな。
俯いて泣きながら歩いていると
あのときのように声がした。
「あれ…吉野?」
純粋に恋愛をしていたのはいつの話?
汚い恋に堕ちた私は
もう二度と帰れない。