三人のイケメンパパと、小さな月姫
井上さんは、しばらく泣いて
それから少しづつ
口を開いてくれる様になった
…ハルトがこっちに来ないのは
もちろん、頭に来てるからだろうけど
真木が相変わらず、マシンの投手と
汗だくになって戦っているのは
"二人並んで、彼女ひとりじゃ
まるで尋問みたいになるから
気を使って来ないのだ"と ――――
「ウワっ!!また振り遅れた!!」
… そう、思いたい…
と、とにかくまず
聞かないといけない事が、たくさんある
少しづつ、当たり障りのない所から
「…井上さんの
お父さんと、お母さんは?」
「… いつもは、家に…います」
「え…今は いないの?」
「田舎の親戚、行ってて…」
「… どうして、置いていったの…?」
「あ… 私は、学校あるし って」
「――… いや 違う」
「… え?」