三人のイケメンパパと、小さな月姫



「うわ なんだこれ!」


駅近くの、大型書店
目指したのは "育児本コーナー"


「こんなにたくさんあるのかよ…」


判らない時は『攻略本』
これ基本


むしろ見ないと進めないのが
最近のゲームは多いし
料理だって、覚えるのはレシピ本や
携帯ゲームの、ソフトからだったりする


けど…

その攻略本なんか比じゃないくらい
"赤ちゃん本"は種類がたくさん出ていて

…何を選んだらいいのか
本気で、さっぱり判らない…


「しかもなんか
書いてある事、全部微妙に違うしよ…」


"○○の本だから、安心だヨ!"とか
帯にもなんにも無いし




「…あ、一番売れてるのが何か
店員さんに、聞けばいいのか」


レジはどこだろうと
周囲を見回していた時


―― 突如目を覚ました
問答無用の、けたたましサイレン


「ちょっと待て!
ミルク、飲んだばっかりだろうが!」


よく考えて、本を選ぼうと思ったけど
…うるさいって顔して見てる人間も
結構、多くて ―――


「…きゃッ!」


「うわっ!…ゴメン!」


カゴを急いで持ち上げたら
制服姿の女の子とぶつかってしまった


向こうも急いでいるのか
そのまま、店の外へ走って行き


「…ええい!
全部買えば、どれか正解だろ!」


俺は俺で
右手で掴める範囲全部の
"赤ちゃん本"を引き抜いて
本屋から出る為に、レジに向かった



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