三人のイケメンパパと、小さな月姫
ここに来るまでの車内は
俺と真木が喋るだけで
当の井上さんは、何か質問すると
軽く返事を返すだけだった
その表情は
『とうとう来た!』というよりも
『何故こんな場所にいるんだろう』
そんな感じで ―――
自分も体を伸ばしたくて、外に出る
真木がいった通り
日差しは暖かいけど、少し肌寒い
でもこのくらいの方が、俺は好きだ
「井上さん
トイレ休憩兼ねて
少し外さ出て、空気吸いなよ」
その声に井上さんは
一回、外を見たけど
すぐにチャイルドシートを見つめ
ポツリと呟いた
「どうしてかなぁ…
… お腹の中に、いる時は…
ああしてあげよう
こうしてあげよう…って
私すごく…いいお母さんだったのに…」
「井上さん…」