三人のイケメンパパと、小さな月姫
「……寝たな」
まだ、カゴに入れたまま
"それ"はぐっすり眠ってる
久しぶりに帰って来た部屋
一体、どこに寝かせていいのか ――
フトンはあるが
お世辞にも、綺麗ではない
一度、冷たい感触に耐えかねて
ベランダに干したまま仕事に行ったら
夕立にやられて、一枚ダメにした
それからは、仕事の日には干せず
仕事がつまっていたから
シーツも洗っていないからだ
「あ… そうだ
洗濯しないとヤバイだろ!」
…でも
そしたらコイツ、起きるかな…
前に住んでいた所はアパート
今は一応、ここはマンションで
それなりに防音されてるけど
窓閉めてても、向こうの公園から
泣き声、聞こえて来たりもするし…
いいか
とりあえず、本読まないとな
「――… !!」
… 寝てた
自分が目を覚ました原因は
やっぱり泣き声
外で聞いていたより
反響しているせいか、だいぶデカくて
どうしていいのか、本気で焦る
気がつけば
開いたカーテンの向こうは夜で
真っ暗闇の中で、電気のスイッチを探した
「テ… テレビつけるか?!
…つかこれじゃ
アノ声が予想外にデカかった時の
緊急対処法みたいだろうが!!」
と、とにかく、ミルク作ろう
本にも作り方は、書いてあった
ミチルんちから出て来る時にも
しつこく説明されたし
何か食わせとけば
子供はキゲンがいいって
相場は決まってるんだからさ