三人のイケメンパパと、小さな月姫



「… え、ど…どうすんだ?」


「ガッコ、行くしかねえな」




一瞬だけ、もしかしたら ――

この期になっても勇気がなくて
井上さんが 嘘ついたのかな
… そう思ったんだけど


井上さん本人も
青天のへきれきだったらしく
携帯を握ったまま、真っ青な顔をしている


「オカダ、オレが運転するわ
地図で調べて、ナビしろや」


「りょ、了解!」




――― いやな予感


確かに、会う会わないの話がなければ
住所を教えあう必要は
あまりないんだろうけど…


井上さんの所は
リアル高校で知り合った訳だから
それなりに引っ越すとかなら
話をしていても当然で…




聞いていた名前の学校は
まだ教室の電気がたくさんつけたまま
下校する生徒達で、門前は賑やか


ただそれだけで
ものすごいホッとして


それは井上さんも、同じだったらしく
急にヒクヒク声をあげて
顔を覆い、泣き出してしまった


「井上さ…」


「オカダ、見ててやって」




真木が寒そうに、肩を竦めて
車を停めたコンビニ前から
道路を渡り、校門前に走る





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