三人のイケメンパパと、小さな月姫
「…なんで、飲まないのよ?」
カゴの中の
真っ赤な顔に
そう呼びかける
温度、ちょうどいいと思うし
粉の量も、お湯の量も、ちゃんと計った
それなのに
何度、哺乳瓶を向けても
欲しがるどころか
いっちょ前に、顔を背ける
ご丁寧に、ファイティングポーズ付きだ
…粉なのがいけないのかな
でも、ミチルからは ちゃんと飲んでた
「――… わかった!!お前オトコだろ!
自慢じゃないけど
昔から俺は、同性に嫌われるの
得意なんだからな!」
………
顔、こいつが来てから初めて
よく 覗き込んでみたけど…
似てないよな …俺に
うちはじっちゃが
俳優になりたかった人で
ばっちゃも何とか小町とか
近所の人に、言われていたらしい
何故なのか その遺伝子は
親父や、その弟達を飛び越え
孫の俺に、引き継がれた
「…あ」
タバコ、やばいか…
つい手を伸ばして
火を着けそうになったそれを
灰皿で、思い切り潰す
しかし時間がたてば
飲むようになるだろうと
楽観視していた俺だったが
それは、大間違いで ――――
結局、真夜中になっても泣き止まず
いくら何でも、隣近所に聞こえるだろうと
鍵、財布、携帯を持って
夜の公園に 出かける事にした