三人のイケメンパパと、小さな月姫




彼氏が話を再開したのは
かなり、時間が経ってからだった




「… お袋は
わかってくれると思います
うち、親父が小さい時死んで
二人でずっと、やって来たし…


―― でも俺!

… サッカーで食ってくって
ぜってー決めてて…

私立入って、苦労かけてるし
それで…

――― だから…学校、やめるとかは…」




… 泣いた


逞しくも見えていた
彼氏の顔も 肩も

途端に弱々しい
"彼女と同じ、十六歳"に 戻ってしまった




真木が立ち上がって
彼氏の肩を、ポンポン叩く




「… そりゃそうだよな

取りあえず、今は泣いとけ


――… だけどよ

カノジョの前では絶対、その顔見せんな」




彼氏はこぶしで、真っ赤な顔を拭う




「… どんなに虚勢張ってる女でも
ホント、その実 弱いからよ

特にオマエは、もうオヤジなんだし
カノジョも、オマエが頼りだ」


「…は…い」


「一緒になんか食うか?
結構練習、キツイんだろ?」




「…きついけど、でも…」


「あんまり遅くなると
野球部のヤツらにもメイワクかけるしな

あ、これ美味かったぞ
好き嫌いあるか?」




「ない…です」




< 157 / 203 >

この作品をシェア

pagetop