三人のイケメンパパと、小さな月姫
「なんか、曲かけるか」
真木の提案に頷き
ずっと交通情報だけだった
ラジオ放送から、切り替え
――― とは言っても
意外とぞんざいな
逆にハルトらしい車内
音響機器も、買った時から
何も触っていない感じの
古いデッキやスピーカー
脇に木製の、収納鞄があって
そこを開けたら
かなり珍しい物を発見した
「… カセットテープかよ!」
…でも、ハルトが何聞いてるのか
興味あるよな
本人はメインで、スカバンドやってたり
イレギュラーにビジュアル系やったり
カテゴリー無視の、雑食だから
適当に選んだ一本を
ガチャリと、小さな入口に差し込む
「…ん?曲じゃねえのか、これ」
「え?」
聞こえて来たのは
滅多に聞かない ――
… いや
初めてって言ってもいいくらいの
誰かと楽しそうに話している
今より、だいぶ少年ぽい響きの
ハルトの笑い声や
その後ろから
誰か複数いる様子の
たまに聞こえる 談笑
『ハルトー!
ここに歌えばいいのー?』