三人のイケメンパパと、小さな月姫
部屋を開けると 真っ暗で…
独り、ソファに座ったハルトの声だけが
開かれたカーテンから入って来る
青い月明かりの中で響いた
「ただいま、ハルト」
こんな空気をものともせず
帰宅の声を掛け、電気をつけた真木が
今日の事情を、荷物を置きながら話す
「俺はその女を信用してない」
「な…なぁ、ハルト!」
立ち上がったハルトが
片目だけをむきながら
少し背を低くして
井上さんを 覗き込む
「返して、それから?
家までの帰り道に、また気が変わって
… また適当に
どこかに捨てるかもしれない」
「――… ハルト!!」
「て…適当じゃ…ないです!」
「井上さん…?」
「私、お、岡田さんの事
ずっと前から、知ってたんです…!!」
「……… どういう事…?」