三人のイケメンパパと、小さな月姫
井上さんは
緩く震える手を
自分の腹の前で握る
「…退院して…その…帰りに
ドラッグストア…寄って…
"しっかりしなきゃ"
"うじうじしてても、仕方ない"って
でも…!!
どうしていいか…わかんなくて…
… ギャルのコみたいになれば…
もっと軽く…いろいろ
考えられるのかな…って
テスター…の、コスメ…
派手なのばっかり、使ってたら…
きゅ…急に後ろから!!
スッゴいカッコイイ、王子様みたいな人が
"こっちのが似合うよ"って…」
「な…、お…、俺のこと?!」
「はい!!」
――― お…覚えてねえ…
「話したのは…
それだけ…だったけど…
… 学校では、内緒にして
優等生、やって…
うちでは…"お母さん"で…
だから…嬉しくて…
だから…その…
岡田さんの…
あと、つけて……」