三人のイケメンパパと、小さな月姫



そいつの名前は
『真木 空哉』


少し癖のある茶髪
後ろでひとつに結んでる
それと、歯並びがいい


会う時は大体
コートにスーツ
えんじ色が好きらしく
よく身に着けてる




口は悪いけど、デキる男だし
俺が今、住んでるマンションも
そいつ経由で借りた所


最初に言った、単独の仕事も
事務所立ち上げた真木がくれた
新人アーティストの、PV撮影だ




「… 格好悪いけど」


携帯を開き
ボタンを押すと

鳴ったと同時くらいに
相手が出た




『なんだよどうした?!』


「や… こんばんは」


『こんばんは。
何だよ! 用事あるなら来いや!』



―――…

… コイツって




「…また、飲んでんのか?」


『お?今日はそんなに、飲んでねぇぞ

新しいギター買って
今、磨いてたとこだ』


「そっか…」


『なんだ?アズルならいねえぞ
仕事で今、地下に篭ってる』


「…アズは
その場に居ない方が、助かるな…」


『ほー…

―――― ま、来いや』





< 17 / 203 >

この作品をシェア

pagetop