三人のイケメンパパと、小さな月姫
そいつの名前は
『真木 空哉』
少し癖のある茶髪
後ろでひとつに結んでる
それと、歯並びがいい
会う時は大体
コートにスーツ
えんじ色が好きらしく
よく身に着けてる
口は悪いけど、デキる男だし
俺が今、住んでるマンションも
そいつ経由で借りた所
最初に言った、単独の仕事も
事務所立ち上げた真木がくれた
新人アーティストの、PV撮影だ
「… 格好悪いけど」
携帯を開き
ボタンを押すと
鳴ったと同時くらいに
相手が出た
『なんだよどうした?!』
「や… こんばんは」
『こんばんは。
何だよ! 用事あるなら来いや!』
―――…
… コイツって
「…また、飲んでんのか?」
『お?今日はそんなに、飲んでねぇぞ
新しいギター買って
今、磨いてたとこだ』
「そっか…」
『なんだ?アズルならいねえぞ
仕事で今、地下に篭ってる』
「…アズは
その場に居ない方が、助かるな…」
『ほー…
―――― ま、来いや』