三人のイケメンパパと、小さな月姫
ハルトはやはり 何も言わない ――
ただ黙って、月姫を抱き
感情のない眼で、彼女を見ているだけ
… 波風立たずに済むなんて
思ってはいなかった
彼女は 母親として
一番してはならない事を
してしまったのだから …
何を言っていいかもわからず
言ったところで
ハルトを引き止める力も
説得力も無い
絵空事の理想論にしか
ならない気がして …――
時間が、この場だけ停止し
動いているのは
部屋から出て行こうとするハルトだけ
そんな感覚に陥る程
音も消え、風も止まった部屋の中で
月姫が 泣いた