三人のイケメンパパと、小さな月姫



ハルトはやはり 何も言わない ――


ただ黙って、月姫を抱き
感情のない眼で、彼女を見ているだけ




… 波風立たずに済むなんて
思ってはいなかった


彼女は 母親として
一番してはならない事を
してしまったのだから …




何を言っていいかもわからず


言ったところで
ハルトを引き止める力も
説得力も無い

絵空事の理想論にしか
ならない気がして …――




時間が、この場だけ停止し

動いているのは
部屋から出て行こうとするハルトだけ




そんな感覚に陥る程
音も消え、風も止まった部屋の中で


月姫が 泣いた






< 176 / 203 >

この作品をシェア

pagetop