三人のイケメンパパと、小さな月姫
「それよりよ
オマエは今日、どうする?」
「あ」
「ハルトは、さっき帰った」
「えええ?!いつの間に!!」
「こんな場所に、もう用は無いってよ」
「… あからさまだな!」
二人で笑い
まだ熱い灰皿の上で
煙草の灰を落とす
――― 明日からはまた
いつもの日常が始まるんだ
「あ、そうだ…
あれ、ビー玉のマネージャーさん」
「早苗?」
「うん、プロフィールとか
すごく沢山書いてくれてて」
「…あいつも、月姫と同じで
生まれたばっかりだからな
イロイロ覚えようと、頑張ってる」
「そっか…」
俺と、同じか…
「そーだ!!
オマエ 月姫の写真、撮ってたよな!」
「お、おお」
「あれくれよ」
「… うん」
リビングに戻り
いつも持ってるデジカメから
真木のノートに、データを移す
一枚として、同じ表情はない
編集するとか、そんな話になって
結局今日は、泊まって行く事になった
… なんか俺も、切なかったし
真木もきっと
同じ気持ちだったんだと思う
「とりあえず酒な!!ツマミもあるぞ!」
「うお?!"黒はんぺん"!!」
「やっぱりオマエも、気になってたか」
「… 試食したか?」
「してねえな」
その初めて見る姿を肴に
あーだこーだいいながら
ビールの缶を空けて行く
――― 普通の男の子、普通の女の子
そんな彼らが
『"あず"の大好きな
父っちゃと母っちゃ』になるよう
心の中で、祈りながら ――――