三人のイケメンパパと、小さな月姫
ガヤガヤしてる
BQ-FRONT、事務所兼、フロア
観葉植物の横のソファ
豪快にいびきをかく、原崎さんの背中
PCやソフトの性能があがって
しかもここは、ボスの吉田さんが
元、メカオタだから ――
作業のしやすさは、格段だけど
やはり編集は、手作業だ
例えば、空 海 街
そんなシーン ひとつにも
全て誰かの、手がかかっている
「岡田」
「 …おはようございます!」
ボス部屋から
ヌーッと顔を覗かせたのは
相変わらずの寝癖頭に
脂の付いたメガネをかけた
BQ-FRONTのボス、吉田さんだ
「おはよ
今、何かしてる?」
「あ、スケジュールを…」
「それ後でいい」
「…はい」
ドアを向こうに、姿を消しながら
手だけで『来い来い』と
中へ入る様に、促される
「おはよう 岡田君」
「おはようございます!」
…早河さんまで居る
この人は、ボスが映画を作る時
それに関わる、全ての人達とを仲介する
プロデューサーの役目だ
…何か、新作 ―――
でも、二人揃って
俺をわざわざ呼び出す意味って…
「夕べ、正式に依頼が来たぞ」
「…え」
「ばぁか!話、先に聞いてんだろ?
お前が作る!初めての!
プロモーションビデオの依頼だよ!」