三人のイケメンパパと、小さな月姫
「まぁ… それは仕方ないよな
男の幸福と、女の幸福は、違うから」
「……」
仕事を終えた、夕暮れ時 雨の駅前
赤い提灯
おでんの屋台
今日は走り回っていて
昼をまともに取れず
"美味そうなニオイだな"
そう思って、通りすぎようとした時
吉田さん
うちの会社のボスに
後ろから、声をかけられた
ちくわぶ、大根
コップには、ビール
「女の人はほら
恋=人生だけど
男は自分の人生と恋とは
ほんと、別物だからなぁ」
メガネを曇らせながら
玉子を丸呑みするボス
…昔は、恋ってもの自体
よくわからなくて…
そして、初めて知って
恋=人生みたいに
一時期の俺は、なってたけど…
「んで?岡田の悩みはその
心境の変化だけ?」
「…… その」
――― 多分
俺の様子がおかしいのを判って
…ホントこの人はそういう
目に見える物から
見えない部分、気がついたり
そういう変化に目ざといから
声かけてくれたんだろうけど
赤ん坊の事は
言わないほうがいいよな…
前にも相当、迷惑かけてるし…
「え…と
プロモーションビデオの、事で」