三人のイケメンパパと、小さな月姫



湯が湧いていると言うので
何だか、すごく久しぶりに
湯舟にゆっくり、浸からせてもらった


そして 出て来ると ―――


「――… え」




湯気の立ち込めるリビング

ソファには、あぐらの上に
赤ん坊を抱いた真木


「拭いたら、早く座りなよ」


オタマを持って、鍋を覗いている
ポニーテールのハルト


え… この鍋 って…


「真木、お茶碗とって」




―… 何となく、ソファに座らず正座


「地元に住んだ事も無い人間が
材料だけ揃えて作った料理だから
あまり、期待はしないでね」


「い、いや…ハルト
うれしい…ていうかよ、え…」




そこで美味そうに、湯気をたててるのは
俺の地元の郷土料理
『せんべい汁』って奴で…


こっちで言う
『すいとん』みたいなもんなんだけど
小麦粉、溶いた奴じゃなくって
"かやきせんべい"ってのを入れる

味噌、鶏、きのこ、ネギ、ごぼう



や…っべえ
なんか、涙出て来た…


慌てて、湯気のせいや
"まだ髪が濡れてたんだ"っぽくして
タオルでガシガシ顔を拭く




… そりゃ、そうだよな


「ハルト!
オレんとこ、鳥肉たくさん入れろや」


「…えり好みしないで
たくさん食べなさい」




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