【完】強引なイケメンに、なぜか独り占めされています。
「きゃっ……、」
グイッと、力がこもったその手は自分の胸の中へと、あっという間に私を引き寄せた。
「………うっそ!?」
ユキノ先輩は目を見開いて驚きの声をあげた。
何が起きてるの………?
訳がわからない私は反射的に顔を上げ、視界に映った人物にギョッとした。
「………き…桐生 秋十(きりゅう あきと)?」
その名をこうして口にしたのはどれくらいぶりかな。
どうしてこの男がここにいるの……!?
「仁菜、勝手に俺のそば離れんなよ?」
ハァ………!?
な……っ、なに言ってんの!?
大胆不敵に笑った大きな黒い瞳が楽しげに歪む。