【完】強引なイケメンに、なぜか独り占めされています。
ーーードキッ
なんの迷いもなく発した言葉に呼吸すら忘れてしまった私……。
どれだけ私をからかえば気が済むの……?
「………あ、頭でも打ったの?」
「そう言えば、お前は納得すんのか?」
「す、するよ……するする。だって、それ以外の理由で、アンタがそんなこと言うわけないもん……」
もう……。
顔がまともに見れないなんて、情けないよ私。
「ふーん。茹でダコみたいな顔してるぞ?さっさと家ん中入れば?」
視線の定まらない私を見てクスッと笑った声が飛んでくる。
「っ、あ、アンタこそさっさと帰ったら!?」
今度こそ本当に踵を返した私は、大袈裟に足音をたてて家のドアへと向かう。
やっぱり、桐生秋十は、どうかしてるよ……。
「言われなくてもそうするつもり」
背中に聞こえてきたその声に私は振り返らず、しばらくその場に立ち尽くしていた。