【完】強引なイケメンに、なぜか独り占めされています。
「えっ、桐生くんっ……その子と付き合ってるの?」
いやいや、付き合ってるなんてありえないから!
悶絶する私を見てフッと笑った桐生秋十……。
あの頃と変わらない意地悪な笑みが降ってくる。
信じられない状況にすぐに抵抗したくても、黒水晶のようなその瞳を睨むしか出来なかった。
「人気者の桐生くんに会えるなんてラッキー!」
答えを待てないユキノ先輩はワクワクしたように目の色を輝かせ、頬を赤らめている。
どうして女の子達は、こんな最低なヤツに胸を高鳴らせるのだろう。
チョコレート色の髪がふわりと風を誘い露になる、はっきりとした目鼻立ち、綺麗な鼻筋、軽く口角を上げた唇は少し挑戦的。
大きな黒目はまるで黒水晶のように印象的で。
180センチはあるのか長身の桐生秋十は、その極上にカッコいい顔のせいもあり、どこにいても存在感を放ってしまうのだと、女の子達が騒ぎだしたのは高校に入学してすぐの頃。